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2010年1月末に休止。ありがとうございました。
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▽前回までのあらすじ
2月の人助け総会で見事に成績一位をマークしたのだった。

▽登場人物紹介
中島康孝(ナカジマ ヤスタカ)
└ 主人公。あだ名はヤス。
中島友恵(ナカジマ トモエ)
└ 康孝の双子の妹として下界に潜り込んだ人助けの神の使い
許斐味々(コノミ ミミ)
抜け神の使い。抜け神とはマヌケの神のことで憑かれるとドジばかり踏むようになる。
許斐味々の作中での呼称対応表↓
人物名呼ぶ場合呼ばれる場合
浜松大門浜松君許斐
大西寺巫女ミコちゃんミミちゃん
堂路文香先生(文香ちゃん)ミミちゃん
侍の幽霊面識なし


以下省略!


人助けの男 第11話「旗折り」



 今日は2月15日。第三日曜日なので友恵は〝人助け総会〟とかいう会合に行っていて俺は一時の休息を楽しめる。風呂やトイレに入る時以外は常に顔を合わせているので、自分の部屋に一人でいられるのはこんな時しかない。
「まぁ・・・・・・侍さんがいるんだけどね。」
(拙者は消えているつもりでござるが、康孝殿には見えるようになってしまってるでござるから、仕方が無いでござろう。)
 侍さんもいつの間にか〝ござる口調〟を頻発するようになった。初登場の時はこんなに〝ござるござる〟言ってなかった気がするぞ。それはともかく一人でのんびりできる良い機会なので、今日一日はゴロゴロして過ごすか。

「あ、そういえば今日お父さんから電話があったわよ~。」
 昼飯を食べている途中、母さんが言った。そういえば父さんは結局正月に帰ってこなかった。急に仕事が忙しくなったとかで。しかしどんな仕事をしているのかまったく知らないんだよぁ。海外出張するぐらいだから、結構重大な仕事をしてると思うんだけど。
「で、電話でなんて言ってたの?」
「向こうでの仕事が終わったから今から帰りますって。あまりに急でビックリしちゃったわ~」
「ええ?海外から電話して、今から帰るって?」
「そうね~。朝早くの電話で、今空港にいるって言ってたから帰ってくるのはたぶん夜だと思うわ。」
 何ヶ月ぶりだろうな~。海外のお土産はなんだろう。あ、友恵のことでなんかまた面倒ごとにならないだろうか・・・・。

 ちなみに母さんが友恵無しで俺と2人で昼食をとっていても何も気にしないのは、〝記憶操作した者が別の世界にいる時は影響が無くなる〟らしく、今の母さんは友恵が家に来る前の普通の母さんだ。だから友恵のことも知らない。この日だけはいつもの日常が戻ってくるわけだ。

 しかし友恵の所持品が消えるわけじゃないので、俺の部屋に友恵の服があるのに変わりは無い。なのでこの日は母さんが部屋に入ってこないように警戒しなくてはならないのがネックだ。〝女装癖〟があるなどという勘違いをされたら俺はオシマイだ。

(外に遊びに行かないのはそのためでござるか?)
 自分の部屋に戻ると侍さんが話しかけてきた。他の人に侍さんは見えないから、自分の部屋で独り言を言ってる変な奴に思われてしまうのは間違いない。なので小さい声で返答をする。
「まぁ、そうかな・・・・。あ、そういえば友恵が原因で助っ人部に入った柳沢や大門はどうなってんだ?まさかこの間だけ助っ人部が消滅してるわけでも無いだろうし。」
(謎でござるね。友恵殿が帰ってきたら聞いてみればいいでござるよ。)
 記憶操作をされてない俺や侍さんはもちろん友恵のことは覚えている。だが記憶操作で友恵の存在を認識した学校のみんなは覚えていないだろう。とりあえず同じ神の使いの許斐さんは記憶操作の影響を受けてないだろうから覚えていると思う。友恵の奴がどこまでの範囲で記憶操作をしたのかわからないから、別のクラスの大西さんはもしかしたら覚えてるかも知れない。
(柳沢殿に連絡してみてはいかがでござるか。)
「なるほど。メールでも打つか。」

「えーっと、まずは・・・・・・助っ人部の存在についてだな。」
 『お前、部活なんだっけ?』とメールで打って送信した。
 数分後にメールが帰ってくる。
 『何言ってんだよ お前と同じ助っ人部じゃん
 どうやら助っ人部はちゃんと存在しているようだ。
 次に『なんで入部したんだっけ?』と送ると意外な答えが返ってきた。
 『友恵ちゃんのために決まってるだろ!
「・・・・・・どう思う、侍さん。」
(もしや既に友恵殿は帰ってきているのでは?)
 一階のリビングに降りて母さんに「俺って一人っ子だよね?」と訪ねると「康孝ちゃん、兄弟が欲しかったの?」と言われたので友恵はまだ帰ってきてないのが窺える。
(どうして柳沢殿は友恵殿を覚えているのでござろう?)
「まさか・・・・友恵が好き過ぎて記憶の壁を乗り越えたんじゃ・・・・・・」
(愛の力はいつの時代も凄いでござるなぁ)
 柳沢の一方的な愛情だけどね・・・・。どうせ友恵の顔だけで惚れたんだろうが、ただそれだけでこんなにも愛情を注げるのは、柳沢に脱帽せざるをえない。
 まぁ、愛の力と決まったわけでは無いが・・・・

 外に遊びに行くわけにはいかないので、ゴロゴロしながら漫画を読んでいるといつの間にか午後7時になっていた。
「先月はこのぐらいに帰ってきてたよなぁ、友恵の奴。」
 その時、階下から母さんが俺を呼んだので下に降りると父さんが帰ってきていた。
「あ、おかえりなさい。」
「久しぶりだな、康孝。5ヶ月見ない間にまた大きくなったんじゃないか?」
「無いって。もう俺成長期終わってるからさ。」
「何言ってるんだ、まだ高校・・・・何年生だっけ?」
「1年だよ1年。もうすぐ2年に上がるけど。」
「そうか、そうだったな。すまんな、ろくに息子の歳も覚えてないで。」
「仕方ないよ。あんまり家にいないんだし。」

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 ≪一方その頃、友恵視点≫
「ここまで徒歩一時間とかどうかしてるわよね。こっちも〝下〟みたいに交通の便を発達させてほしいわ。」
 トヨちゃんとお喋りをしながら〝下〟に戻るための地点(ポイント)まで歩いてきた。ここまで1時間もかかるし、その上こっちは〝下〟の約2倍の時間経過だから、〝下〟で例えると行き帰りに4時間もかかるってわけ。まぁ飽くまで時間の経過が2倍なだけだから体感時間は変わらないんだけどね。
「〝下〟でも会えるといいね。」
「う~ん、そうね。あれ、ちょっと待って?トヨちゃんの憑いてる人って会社の出張であんまり家にいないのよね・・・・?」
「うん、そうだよ。あたしが憑いてから一度も帰ってないみたい。」
 たしか・・・・康孝の父親は海外出張だから家にいないって言ってたわ・・・・・・(第4話参照)
 正月に帰ってくるとか言っておいて全然帰って来なかったし、トヨちゃんの話じゃ康孝と同じ歳の息子がいる・・・・・・。これはまさか・・・・トヨちゃんが憑いてるのは康孝のお父さんじゃ・・・・・・!?

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 ≪再び、康孝視点≫
「ほら、お土産だぞ。」
 父さんが母さんにお土産の入った袋を渡す。
ホワイトチョコマカダミアナッツですって!おいしそうね~!」
 母さんは甘い物大好きなのでこういうのは大いに喜ぶ。そのせいで最近体重が気になっているらしいが・・・・。しかし、あそこまで喜ばれたら土産を買ってきた父さんも嬉しいだろう。
「そういえば父さん、どこに出張行ってたの?」
「ん?言ってなかったか?ハワイだよハワイ。ハワイにうちの会社の支社があるんだ。」
「へえ、ハワイ・・・・。いいなぁ、ハワイアン。」
「ははは、仕事で行ってるんだ。遊ぶ暇なんか無かったよ。」
 この時一緒に聞いておいたが、父さんは大手広告代理店に勤めているらしい。しかし国内ならまだしもハワイにまで支社を持つぐらいの大手だ。俺も名前の聞いたことがある会社だった。
「そうだ、康孝。明後日から本社に勤務なんだが、明日は休みがとれたんだ。久しぶりにキャッチボールでもしないか?」
「え?せっかくの休みなんだからゆっくりすれば・・・・・・」
「ははは、良いんだよ。たった一人の息子との交流を優先するに決まってるだろ?」
 さすがにこの歳で父親とキャッチボールというのも少し恥ずかしいが、久しぶりに日本に帰ってきて休みの日を息子との交流優先にしたいという父親の誘いを断るわけにはいかない。
「たった一人って・・・・あなた何言ってるの?」
 母さんが頭からクエスチョンマークをポンポン出している。
 まさか・・・・友恵が〝こっち〟に帰ってきたか!
 まずいぞ、非常にまずい・・・・。今この場に友恵がいるなら父さんに記憶操作を施せばそれで済むが、今ここにはいない・・・・。そして友恵のことを思い出した母さんと、友恵の存在をまったく知らない父さん。なんだかやばい匂いがするぞ・・・・。
「何言ってるって、たった一人じゃないか。」
 うわ、もう見てられないよ!とりあえず現実逃避するしかない!自分の部屋に戻れーっ!!

(何で逃げたんでござるか?)
「やばいでしょあの雰囲気・・・・。修羅場だよ修羅場。」
(逃げたってどうにもならないでござるよ!?)
 わかってるよ、そんなこと・・・・。うわ~早く帰って来いよ友恵~!!!!

「何ジタバタしてんのよ・・・・・・。」
「わっ・・・・!友恵いたのか!?」
「今ついたんだけど・・・・、あのさ」
「それどころじゃない!父さんが帰ってきたんだよ!!」
「・・・・なんですって!?」
「早く記憶操作してくれ!大変なことになってるから!」
「あーもう、仕方ないわね・・・・!」

 友恵と一緒に階下に下りたときは「双子だった」だの「そんなわけない」だのかなり危ない雰囲気だったが、友恵がささっと出て行って記憶操作を施した。
「世話が焼けるわね、まったく・・・・」
 半分、いやほとんどお前のせいと言っても過言じゃないだろ・・・・。
 操作をされた父さんは目をパチクリして頭からクエスチョンマークを浮かべている。何故か母さんも同様だ。
「おい、母さんにもやったのか?」
「まあね、そのほうがいいでしょ。久しぶりに海外から帰ってきた旦那が妻に頭おかしいと思われるのも可哀想でしょ。だから今の話を無かったことにしたわ。」
「はぁ・・・・お前にもそういう気の利いたことできたんだな。」
 その後は何事も無かったように4人で夕飯を食べた。

「うーん、康孝の父さんが帰って来てて、トヨちゃんがここにいないって事は・・・・全然違ったってことかしら?」
「・・・・なにブツブツ独り言してんだ?」
「あ、いや、なんでもないから。・・・・散々思わせぶりしておいてまったくの別人ってどういうことよ(ボソッ」

 PULLLLLLLLLL

 突然電話が鳴ったので俺はすかさず取った。俺の部屋には電話の子機が置いてある。
「はい中島です。・・・・友恵ですか?・・・・・・はい、ちょっと待ってください。友恵、お前に電話。」
「え?・・・・はい、代わりました。」
《トモちゃん?あたしだよ、トヨだよ。》
「あ、トヨちゃん?(そういえばうちの電話教えておいたんだった・・・・)」
《すぐに息子さんに説明して憑いたんだけど、北海道在住だったの。そっちは関東でしょ?残念だね。》
「そ、そうね。まったく接点無かったわね。」
《うん。でもまた電話するから、いつでも話できるよね。それじゃおやすみ。》

「誰、今の子?お前の友達?」
「・・・・・・なんか変な所で現実的よね、この話・・・・。」
「は?・・・・なんかよくわからんが、それは仕方ないだろ。作者がひねくれてるからな。」
「あんた、主人公なんだからメタ発言控えなさいよ・・・・。」

≪なんだか妙に疲れた友恵であった。≫

  >>第12話に続く                                               
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