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2010年1月末に休止。ありがとうございました。
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▽前回までのあらすじ
康孝の住んでる町に怪物が放たれた!

▽登場人物紹介
中島康孝(ナカジマ ヤスタカ)
└ 主人公。あだ名はヤス。
中島友恵(ナカジマ トモエ)
└ 康孝の双子の妹として下界に潜り込んだ人助けの神の使い
侍の幽霊
錆礼神社の石碑に縛られていた幽霊。友恵が縛る対象を石碑から康孝に移した。


人助けの男 第14話「七死に三生」



「これが残ってる書物じゃ。色々と怪物の事が書かれておる。」
 お坊(というか和尚?)さんは古そうな棚から年季の入った巻物を取り出し、俺達に見せた。
「挿絵で殺人蟷螂のことが書かれてるのはわかるけど、字が読めないぞ・・・・。」
 巻物には墨で色々と書かれていたが、肝心の字が読めない。もちろん〝俺達が解読できない〟だけであって、字が消えているとかそういうわけではない。
「これはじゃな・・・・。怪物の特徴等が記されておる。例えばそうじゃな・・・・、この殺人蟷螂が丸くなってる挿絵、これは日中の蟷螂の姿を写したものじゃ。」
「つまり殺人蟷螂は夜行性ってことか・・・・。」
「そうじゃ。それで・・・・こっちの巻物には封印した時の様子が書かれておる。」
 そういって2枚目の巻物を取り出した。
「この巻物によれば・・・・霊媒師の方があの石碑に封じ込めたという。今の時代、信用できる霊媒師などおらんじゃろ・・・・。解決策は皆無じゃよ。もしかしたら昔の時代には無かった重火器等でやっつけることが可能かもしれんが・・・・、とりあえずお前さん達、夜中には出歩かないほうがいいぞ・・・・。」

 一通り話を聞いた後、俺達は神社を後にした。
「なあ友恵・・・・、これってやっぱ・・・・ヤバイよな?」
 友恵に話しかけるが反応が無い。和尚さんの話を聞いてる時も一言も喋らなかったし・・・・。やっぱあの事、気にしてるんだな・・・。
「おい友恵!聞いてんのか?」
「聞こえてるわよ!・・・・もうどうすればいいのか・・・・。」
「なあ・・・・、確かに友恵が原因かも知れないけどさ、やっちまったことは仕方ない!もう後は警察や自衛隊に任せよう。」
「・・・・あんた本気で言ってんの!?それまで何人の犠牲者出すつもりよ!」
「・・・・っつってもよ。俺達がどうこうできる問題じゃないだろ?相手は怪物だぜ。」
「できないじゃなくて、やらなきゃいけないのよ・・・・。あたしが原因ってバレたら、出世どころか極刑よ・・・・!?」
 ・・・・どうやら犠牲者云々は建前で結局は自分の都合らしい。
「というわけで・・・・、なんとしても殺人蟷螂をターミネイトするわよ!」
「いや、待て!できるのかそんなこと!?」
「殺すのは無理だとしても封印は可能かもしれないわ。あの書物によれば霊媒師が封印したらしいけど、たぶん侍さんが何かに関わってるはずだから、あの話が全貌ってわけじゃないと思うのよ。それがわかればたぶんできるわ。」
「あっそ・・・・じゃあがんばれよ。」
「ちょっと待ちなさい!・・・・あんたも手伝うに決まってるでしょ。」
「おいおい・・・俺は関係ないだろ。」
「そう・・・・。もしバレてあたしが強制送還されたら・・・・あんたを呪い殺す。」
「ちょっ、待て!脅しかよ!?」
「死にたくなかったら手伝いなさい!それに侍さんはあんたに憑いてるんだから、協力してもらわないとダメなのよ。」
 ・・・・どうしてこうなるんだ。ってか侍さん一言も喋らないし・・・・。

 なんだかんだで家に帰ったのは日が暮れそうな時間だった。
「で・・・・なんか策はあんのか?」
「なに?協力する気になったわけ?」
 ・・・・自分で脅しておいてその言い草はないだろう。もしかするとさっきの脅しは、実現しない類の物なのでこう言ったのかも知れないが、少し乗り気になってしまった今ではもう遅い。
「仕方なく協力だ。仕方なくだぞ。」
「はいはい。仕方なくありがとうね。・・・・・で、なんだっけ?」
「策だよ。殺人蟷螂をやっつける考えはもう浮かんでるのか、って聞いてるんだ。」
 まさか何の計画も無しに「ターミネイトするわよ」とか言った訳では無いだろう。
「えっ!えーと、えーっとね・・・・・それを今から考えるのよ!はい、案出して。」
 ・・・・何も考えて無かったのかよ!

 とりあえずその時は何も浮かばなかったので、寝る前にまた考えようということになった。

「なんか良い案出た?」
「良い案出た?じゃねえよ。お前も考えろって。」
「いや、あたしだって考えてるわよ。ただあんたの意見を聞いて、それから新しい考えが浮かぶってこと、あるでしょ?」
「あーわかったわかった。結局何も考え付かなかったんだろ。」
「っさいわね。あんたはどーなのよ。」
「・・・・夜行性なんだろ、殺人蟷螂。」
「夜しか事件起きてないからね。で、それがどうしたのよ。」
「・・・・・つまり昼は行動してないんじゃないか。その時やっつけるってのはどうだ。」
 この意見は正直言って良い考えとは言えなかった。いくら夜行性と言っても行動してないとは言い切れないし、眠っているだけだとすれば冬眠中の熊を起こすようなものだ。ここは友恵の反論を待ってから、さらに考えを広げようと思い、この意見を出した。・・・・が。
「ナイスアイディア!それで決まりね。じゃああたし寝るから。おやすみ。」
 ・・・・友恵はすんなり意見を受け入れて布団に潜り込んだ。
「ちょっ、おい!友恵!」
「何よ・・・。もう考えは決まったじゃない。寝かせなさいよ・・・・。」
「いや・・・・なんも反論しないのか・・・・?」
「はぁ・・・?反論して欲しいの?あんたマゾだったっけ。」
「マゾじゃねーよ!」
「じゃあいいでしょ。おやすみ。」
 ・・・・・そう言うと友恵は頭まで掛け布団で覆い、そのまま眠ってしまった。
 ここで無理に起こすとまたややこしいことになるので、仕方なく俺も寝ることにした。

 ・・・・翌朝。なんとテレビ番組で俺のいる町が紹介されているではないか。もちろん例のカマキリ男についてやっているのだが・・・・ついにテレビ局が報道するようになったかぁ。よくよく考えてみれば同一犯と見られる殺人事件が既に3件出ているのだ。今まで報道されなかったのが不思議である。ちなみに地方ローカルのテレビ局ではない。
「これはマズイわね。錆礼神社との関連にはまだ気づいてないみたいだけど、早いとこ何とかしなきゃ・・・・。」
「何とかしなきゃって、まだ策が・・・・」
「昨日の夜にあんたが出したじゃない。あれでいきましょう。今日のお昼に決行よ!」
「・・・・・・また随分と急な話だな。」
 驚くのも疲れたので静かに対応せざるを得なかった。
 ・・・・そういえば昨日の一件から侍さんが姿を見せない。俺はもう侍さんのことを常時見えているようになったはずなのだが、辺りを見回してもどこにも見当たらない。
「・・・・なあ友恵。侍さん・・・・知らないか?」
「え?・・・・・さあ?知らないけど。」
 友恵も知らないとなると・・・・どこに消えてしまったんだろう・・・・。

 そして昼になった。友恵が「腹が減っては戦が出来ぬってよく言うでしょ」と言うので昼飯を食べてから殺人蟷螂を探すことになった。
≪明日もまた、見てくれるかな≫
「「いいですとも~!」」
 母さんと友恵が昼飯食ってる最中にも関わらずテレビの掛け声に返答した。その番組はゴルさんという愛称で呼ばれるタレントが司会のお昼の人気番組「笑っていいですとも!」である。正直恥ずかしいからやめてほしい。
「さぁて、そろそろ行こうかな。」
「友ちゃん、お出かけ?」
「うん。ほら康孝、行くわよ。」
「ま!康孝ちゃんも一緒なの?兄妹仲良くて母さん嬉しいわ~。」
 こういうこと言う母親ってちょっと腹立たない?・・・・って誰に問いかけてるんだ俺は。

「探すって簡単に言うけどさ、どこにいるかアテはあんのか?」
「とりあえず錆礼神社を探しましょう。元々あそこにいたんだし、動かない時はそこに戻ってる可能性が高いわ。」
「・・・・なるほど。」
 納得のいく返答が返ってきたので少し驚いた。俺はまた何も考えてないのかと思っていたのだ。しかし殺人蟷螂が昼は動かないと決まった訳ではない。
「なぁ、本当に探すのか?昼でも動くかも知れないんだぞ?」
「その時はその時よ。何もしないならしないであたしは極刑だし。まぁ昼でも動いちゃうんなら素直に人生あきらめなさい。ねっ。」
「・・・・・・・・・・はぁ。」
 どう考えても安全な方法が無いので溜め息をつくしかなかった・・・・。

 そして錆礼神社に到着した。
「あのお坊さんは・・・・・見当たらないな。建物の中かな?」
「いないほうが好都合よ。さ、神社の裏側に周りましょ。」

 神社の裏は相変わらず静寂に包まれていた。
「さあて、・・・・どこを探すんだ?」
「シッ・・・、何か聞こえるわ・・・・。」
 友恵がそういったので俺も息を潜めて耳を澄ました・・・・が、何も聞こえない。
「何も聞こえないぞ。」
「っさいわね。雰囲気よ、雰囲気。」
 この期に及んで雰囲気作りとは、どこにそんな余裕があるんだろうか。
「とりあえず二手に分かれてそこらへんの草むらを調べてみましょ。」

 言われるがまま二手に分かれて草むらを調べて10分が過ぎたものの、一行に見つかる気配が無い。
 それからしばらくして友恵と合流した。
「どう?何か見つかった?」
「いーや、全然。やっぱ何も無いんじゃないのか?」
「ん~・・・・、まだあっちは行ってなかったっけ?」
「俺は行ってないな。」
「じゃあ今度はあそこを調べてみましょ。」

 神社の裏側を虱潰しに調べてみるも一向に見つからない。やはりここにはいないんだろう。正直、居なくてホッとしている。
「ん~。あと探してないのは・・・・・・例の穴ぼこだけね。」
「おいおいおいおい!まさかあの穴を調べるつもりか・・・・・!?」
「外の光が差し込んでないから中が見えないってだけでしょ。懐中電灯で中を照らして覗いてみましょ。」
 そんな懐中電灯の光なんかで穴の中が覗けるほど明るくはならないだろうに。しかしそんなことを言っても友恵は考えを改めるような性格じゃないので好きにさせた方が早い。
「ん~・・・・、やっぱ何にも見えないか~。」
 やはり懐中電灯の光では何もわからなかった。まぁ、これで友恵も諦めがつくだろう。
 と、その時。
「・・・・あっ!落としちゃった・・・・。」
「ちょっ、何やってんだよバカ!」
 友恵が穴の中に懐中電灯を落としてしまった。
「はぁ・・・・、ヒヤヒヤさせんなよ。お前も懐中電灯と一緒に落ちたらどうなると思ってんだ。」
「・・・・なに?心配してくれてんの?」
「人として当たり前だろ。何を今更・・・・・」

「オオオオオオオォォォォン・・・・・・・・」

「・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
 突然穴の中から低音の唸り声が聞こえてきた・・・・。まさか・・・。
「うそっ。いる?中にいるの?」
 驚きとワクワクが入り混じったような声で友恵が言った。何故ワクワクするのか、まったく意味がわからない。・・・・だが、これはもう確実だ。この穴の中に例の怪物が潜んでいるに違いない・・・・。
「とっ・・・友恵!穴から・・・離れた方が・・・・。」
「あ、あっ、そ、そうね・・・。」
 俺たちは急いで穴から離れた。10メートル程、間を空けて穴を見張っていたが、1分経過しても出てくる様子は無い。
「出てこないわね・・・・。」
「まさか懐中電灯が当たったショックで死んだとか・・・・。さっきの唸り声は断末魔だったりして。」
「馬鹿ね。あんな軽い物、いくら高いところから落としても人間ぐらいしか殺せないわよ。相手は怪物なのよ。」
 そういうが、怪物は人間よりも硬いというのはそれこそファンタジーの世界じゃないのだろうか。・・・・しかし人間離れしているからこそ怪物だとも言える・・・・。・・・・ってそんなこと考えている場合ではない。
「そこらへんの石を穴の中に投げ入れるのよ。そうすればきっと出てくるわ。」
「ば、馬鹿言うなよ!なんでわざわざ出す必要があるんだ!相手は今現在起きてるんだぞ!」
 しかし友恵は俺の言葉を軽くスルーしてどんどん石を投げ入れている。既に3,4個は放り投げた。

「オオオオオオオォォォォ・・・・・!!!!」

「お、おい友恵!なんか・・・・怒ってるっぽいぞ・・・!!」
「好都合・・・よっ!」
 そんなことまったくお構い無しにどんどん石を投げ入れ続ける友恵。石はそこら中にあるので弾切れなんてことは無いだろう。つまり俺が友恵を止めるしかないのだが・・・・いくら相手が女でも石を投げまくっている人間を止めるのは難しい。実際にやってみればわかるだろう。

「グオオオオォォ・・・!!!」

 どんどん怪物の声が大きくなってきている・・・・。俺はその場から逃げ出したかったが、恐怖のあまり足が竦んでしまっていた。なんとも情けないものである・・・・。
 そしてついに・・・・・。

「グオオオオオ!!!」
「でっ・・・出たーっ!!」
 怪物が穴から跳び出し、俺たちの方を向いた・・・・!その姿はまさにカマキリ男という名称が似合う怪物で、背丈は軽く2mを越えている。しかも猫背だ・・・・。背筋を伸ばせば3mはいくであろう大きさである。手の指は3本で手首からは切れ味の鋭そうな大きな鎌がニュッと伸びている。穴から跳び出てきた脚力を考えると、かなりフットワークが軽そうだ。これはどう考えても人生\(^o^)/オワタ。
「一体何の騒ぎ・・・・・な、なんじゃぁー!?」
 怪物の唸り声を聞いてか、お坊さんが神社の裏へやってきた。
「お・・・お主ら、昨日の・・・・!こ、これはいったいどういうことじゃ・・・・!?」
「どういうこと・・・・って見ればわかるでしょ!殺人蟷螂のお出ましよ!」
「こ・・・・こやつが・・・・言い伝えの怪物じゃと・・・・・!」
 お坊さんはかなり慌てている様子で足がガクガクに震えていた。足が竦んで動けない俺が笑えたものではないが・・・・。
「友恵ーッ!どどど、ど、どうすんだよっ!俺達全員殺されるぞ!」
 そういうと友恵は俺に近寄ってきた。・・・・・というよりこの位置関係はどうも俺を盾にしているようで・・・・。ふざけんなよ・・・・。
「ふざけんなぁぁーーっ!!」
 大声を出した俺に狙いをつけたのか、殺人蟷螂は俺の方に向き直し、上下に軽く跳躍し始めた。
 ああ・・・・、このあとあの大鎌で切り刻まれるんだろうなぁ・・・。こんなことで人生終わるなんて考えもしなかった・・・・。あーーー・・・・これまでの出来事が頭の中で津波のように流れていって・・・・これが走馬灯か・・・・。・・・・って、まだ死にたくねーーーーっ!!!
「グオオオオオ・・・・!!!」

 ・・・・・俺は死んだ。スイーツ(笑)


 ・・・・・・って、なんかおかしいぞ。
(ふんんんんん・・・・・カーーーーッ!!!)
 なんと俺の目の前でいつの間にか現れた侍さんが、謎の力で怪物の動きを止めていた。
「ど、どうなってんの・・・・。」
「がんばれー!そのままそのままっ!」
(はあああああああ・・・・・!!でやああああぁぁぁっ!!!
 侍さんの声に力が入ったその時、殺人蟷螂が煙のように吸い込まれていくではないか!
 ・・・・・・・・・・俺に。

(・・・・・封印完了でござる。)
「作戦成功ね!これでもう殺人鬼事件解決しちゃったんだから、あたし達ったらこの町のヒーローよねぇ。」
「・・・・・ちょっと待て、友恵・・・・。なんか殺人蟷螂が俺に吸い込まれていくように見えたんだけども。」
「ああ、うん。そうね。あんたに封印したのよ。」
「うぉい!何でそうなるんだよ!?なんで俺が封印の壺みたいな役割になってんの!?」
「しょうがないでしょー。侍さんが元々石碑に取り憑いてたのは石碑に怪物を封印してたからなんだって。つまり、いま侍さんが取り憑いてる康孝に怪物を封印するっていう逆転の発想を、昨日、侍さんから提案されたのよ。」
「・・・・・は?侍さんの・・・・提案・・・・?」
 意味がわからない。侍さんは昨日から姿を消していたし、そんな話をする時間は・・・・・待てよ。二人はグルだったのか・・・・!?昨日、俺の危険すぎる考えを簡単に採用したのもこういう計画が既にあったからなのか・・・・!?
「待て待て待て!・・・・・いつだ。いつそんな話したんだ!」
「あんたが風呂に入ってる時、侍さんがあたしのところに来て色々説明してくれたのよ。記憶がぼんやりと甦ったんだって。」
(完全ではないでござるが・・・・殺人蟷螂に関する記憶は明確に思い出したでござる。)

 侍さんの話はこうだ。その昔、殺人蟷螂が封印された時、侍さんは封印を守る人柱(ひとばしら)に選ばれたそうだ。なんでも父親が霊媒師で侍さんにもその才能があったらしいが、武士に憧れて強引に侍になったとかなんとか。それからそのことを忘れてしまうぐらい長い間、殺人蟷螂の封印を守り続けていたそうだ。

(と、そういうことでござる。康孝殿、こうするしか無かったでござるよ。)
「もう何がなんだか・・・・。侍さんに感化されて霊感が付いたり、自分の体の中に怪物を封印させられちゃったり・・・・。」
「いや~、ナイス侍さん!これで康孝が怪物のパワーとか発揮できるようになったら儲け物よね~。やっぱり侍さんは役に立ったわ!」
「・・・・・まさかお前、最初からそんなこと考えてたんじゃないだろうな・・・・。」
「まさか。結果オーライよ、結果オーライ。まぁ、頭の片隅にはそういう考えあったけどね~。」
「てめー!」

「あー、ゴホン!・・・・・これはどういうことなんじゃ?」
 ・・・・・・そういやすっかり忘れていたが、お坊さんがこの場にいたんだった。さすがにこれは友恵の記憶操作が必要な状況だろう。
「怪物はいなくなったわ!そこの冴えない高校生中島康孝と侍の幽霊が再び封印を施しました!」
 冴えなくて悪かったな。
「なんと・・・・!怪物はいなくなったのか・・・!?」
「おい友恵・・・・、これは記憶操作しないと不味いんじゃないのか・・・・?」
 俺はヒソヒソと小さい声で友恵に話しかけた。
「まぁ、今はまだいいでしょ。」
 ・・・・・今はまだ?
「おぬしたちが怪物を封印したのか?」
「そうでーす!」
「・・・・うーむ、信用していいものか。と、言っても現にさっきまでそこに居た怪物が消えてしまったのも事実・・・・。・・・・・・た、助かった・・・・のか・・・!」
「助かったって・・・・?」
「つまり・・・・連続殺人事件の犯人は殺人蟷螂なわけだから、それがもし警察とかに知られた場合、この神社を管理してるお坊さんに何らかの責任が発生する可能性があったわけでしょ?だからこれも人助けのうちってわけよ。」
「ん~、感謝しよう!未だにお主らがやったこととは信じられんが、信じるしかあるまい!感謝するぞ!」
「はい、感謝いただきました~!と言うわけで・・・・・」

 あのあと、喜びのエネルギーを手に入れたことを確認してお坊さんの記憶を一部操作し、家に帰った。こういう抜け目無い所を見ると友恵は頭が良いと言うより狡猾と言ったほうが正しいのかもしれない。
「いやぁ、まったく今日は死ぬかと思ったぜ。」
「そうね。でも侍さん、成功率は3割とか言ってたから、かなり運が良かったのね。」
「・・・・・・ちょっ、待て。3割!?70%で死んでたってことかよ!?」
「・・・・・・・・・・終わりよければ全て良し!」

 なんか綺麗にまとめやがった・・・・。

  >>第15話に続く                                               
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