2010年1月末に休止。ありがとうございました。
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▽前回までのあらすじ
怪物は再び封印された。康孝の中に。
▽登場人物紹介
中島康孝(ナカジマ ヤスタカ)
└ 主人公。あだ名はヤス。
中島友恵(ナカジマ トモエ)
└ 康孝の双子の妹として下界に潜り込んだ人助けの神の使い。
怪物は再び封印された。康孝の中に。
▽登場人物紹介
中島康孝(ナカジマ ヤスタカ)
└ 主人公。あだ名はヤス。
中島友恵(ナカジマ トモエ)
└ 康孝の双子の妹として下界に潜り込んだ人助けの神の使い。
人助けの男 第15話「新入部員を募集せよ」
いつの間にやら新学年が始まり、すでに1ヶ月が過ぎようとしていた。なんでこんなに時が飛んだのかと言うと、
「・・・・と、言うわけでどんどん依頼をこなしましょう!」
週に数回ある助っ人部の集まりでは、助っ人部に来た助っ人の依頼(ほとんどが雑用事)を誰が担当するのか分けていた。意外と依頼は来るので友恵にとってはエネルギーが貯まってウハウハなのだが、俺の最近の放課後の出来事はグラウンドの草むしりやら、空き教室の清掃やら、なんとも言えないことしかない。
「そういえば・・・・中島。新入部員の募集はしないのかぁ?今年の1月に出来たばっかりのクラブとはいえ、新入部員を募集しないってのもおかしいだろ。この依頼の量ならもっと部員がいたほうが楽だぜ。」
大門が友恵に向かってグチグチと言った。確かに部員はいたほうがいいのだが、友恵が部活紹介をやる日に「助っ人部は部活紹介に出ません」とかいう謎の発言を残してさっさと帰宅しやがったので、新入生の多くは〝助っ人部〟の存在を知らないんだろう。友恵も募集する気は更々無いみたいだ。
「あのね、新入部員の募集って簡単に言うけど・・・・。それってつまり〝新キャラ登場〟って事でしょ?これ以上キャラ増えると書き分けきれないっていうか、作者のキャパシティを超過しちゃうんで、募集は無理なのよ。」
ひとにメタ発言すんなとか言っておいて、思いっきりメタ発言をする友恵。
「まあねー。これ以上増えたらわたしの影が薄くなっちゃうし。」
許斐さんが溜息混じりに呟いた。人物設定の割りに元々薄いとは言ってはいけない。
「地道に活動を続けてれば、助っ人部の活動を見た人が興味を持って入ってくれるかも・・・・。」
大西さんが言った。影が薄いという自覚がある彼女は別のことを考える余裕があるのだろう。しかし〝地道に〟とは、大西さんらしいセリフだ。失礼だが・・・・。
「ってかさぁ~、依頼多すぎだよな!テキトーな依頼とか無視していいんじゃないか?○○教室の黒板キレイにして~とかやってられないぜ!」
柳沢が口を挟む。確かに今の助っ人部の現状は〝助っ人部〟というより〝雑用部〟と呼んだほうが正しいかもしれない。
「柳沢君。確かにテキトーな依頼ばっかりかもしれないわ。みんなに扱き使われてると思っても仕方ないでしょうね。でもそれは裏返してみると〝みんなに必要にされている〟っていう裏返しなのよ!つまり柳沢君はみんなが必要としている人間なのよ!!」
「え、ええぇぇぇええぇぇ!!?俺、そんな重要な人間だったのか!?」
「そう!あなたは無くてはならない存在なのよ!だから雑用がんばって!」
「がんばりまぁぁぁーーーーす!!!」
まんまと友恵に乗せられる柳沢。柳沢は自分が乗せられていることに気づいてないのか・・・・・・。ってか今友恵、雑用っつったよな?
「でもね、先生としては、そうやって雑用事でもがんばってやってる生徒の姿を見ると、ちょっと評価甘くしちゃうかな~って思うのよ。」
「マジっすかぁーー先生!?じゃあ俺、雑用がんばるんで、今度の中間の点数、甘めに採点してくださいよ!」
先生の一言に大門が反応した。大門は数学が苦手なのだ。
「あ、いや、浜松君・・・・。そういう評価じゃなくてね・・・・。」
「つまり内申点が有利になるんじゃない?先生の評価が良ければ大学の推薦とかも有利になるし・・・・。」
「内申点・・・・?じゃあ大学行かないつもりの俺には関係ねぇなぁ。」
「え?浜松君、高校出たらすぐ働くの?」
許斐さんと大門が進路のことについて話し出した。その横では柳沢が友恵に向かって、〝雑用がんばるから今度TDL行こう〟とか言っていた。先生は許斐さんと大門の話に加わって、大西さんは自分のこなす依頼リストを眺めている。当の俺はさっきから心中での状況説明ばっかで一言も喋ってない。主人公としてこれはどうだろうか。
部室での会話が完全に二分化した時、俺はある考えを思いつき、立ち上がった。
「・・・・・・それだ!」
急に椅子から立ち上がって〝それだ〟と言った俺に部員全員の注目が集まる。
「・・・・ヤス、何がそれなんだ?」
「助っ人部の部員を増やす方法・・・・、内申点が有利になるってことを売りにすれば新入部員もくるはず・・・・!」
「ちょっと、ちょっと!まさかあんた、これ以上キャラを増やすつもり!?」
「堂々とメタ発言するなよ友恵。そういう問題じゃない。部員は多いほうがいい!」
「ナイス、ヤス!それでいこうぜ。新入部員が来れば少しは楽になるってわけだ!」
「わたしも賛成~!」
「あ・・・私も良いと思う。」
みんな賛同してくれたようだ。我ながらナイスアイデアだったろう。
「えええ~、みんな賛成しちゃうの?まぁ・・・・いっか。別にあたしが苦労するわけじゃないしね。一応賛成しておくわ。」
と言うわけで、その日の依頼が無い暇な部員が新入部員募集の張り紙を作ることになった。
そして、その日の夜。
「康孝。ホントにあの〝売り〟で新入部員来ると思う?」
「は・・・・?そりゃ、何十人も来るとは思えないけどさ、1人、2人は来るだろ?」
「甘いわね。内申のためなら生徒会に立候補するっていう人の方が多いでしょうよ。わざわざ雑用部に入ってまで内申上げようとするやつなんて、いるのかしらね~。」
「おいおい、お前はその雑用部を利用してエネルギー集めてるんだろ。部員増えたほうがお前にとって得なんじゃないのか?」
「人が増えても依頼の量が同じならそうでもないわよ。まぁ、そういうわけじゃなくて・・・・、もっと他に〝売り〟は思いつかなかったのかってことよ。」
「うーん・・・・?〝人助けに至高の喜びを感じる人、募集。〟的なキャッチフレーズぐらいしか思いつかねーな。」
「そんな人いるわけないでしょ。」
「ちょっ、待て。人助けの神の使いのお前が言うか!」
「そんな人がいたら真っ先に人助けの神に目を付けられてるわよ。それでその人間の存在も〝上〟で大っぴらになるわ。そんな人聞いたこと無いってことは、つまりそんな人間いないってことよ。」
「・・・・・・あー、そうですか。ってかさ、部活紹介の日に助っ人部紹介しないとか言って逃げたのはどこのどいつだよ。」
「あれは紹介したら逆にマイナス評価になると思ったからやめただけよ。逃げたとか言わないで。」
「は?なんでマイナス評価なんだよ。」
「部活紹介って活動内容とか話すでしょ?今の助っ人部って雑用しかしてないじゃない。助っ人感ゼロなのよ?だれが雑用やらされる部に入ると思ってるのよ。」
「じゃあ雑用やらされる部の部長になっちゃってる俺はなんなんだ。」
「人の意見に流されるまま流された哀れなやつね・・・・。」
「流したのはお前だろ!」
次の日の放課後。助っ人部に来ていた依頼〝校舎裏の草むしり〟を一人で励む俺。何やってんだろうな~、放課後まで残って一人、人気の無い校舎裏で草むしりとは。
「キミ、何やってるのー?」
突然どこからか声をかけられたので、声のした方を向くと校舎の2Fから女子がこっちを見ていた。
「何って、草むしりだけど。」
「なんでそんなことしてるのー?」
「いや、ちょっと頼まれて・・・・。」
「へぇー・・・・がんばってねー!」
そう言うとその女子は行ってしまった。一体なんだったのか。だが、彼女がいった一言。〝がんばって〟・・・・。まったく知らない人に言われたこの一言は何故か俺のやる気スイッチを最大にさせた。応援される・・・・・・スバラシイ・・・・。
「友恵、新たに助っ人部の〝売り〟を思いついた。聞いてくれ。」
「何よ、急に。」
「助っ人部に入ると・・・・・・〝知らない女の子から応援されます!〟」
「・・・・・・・・おつかれ。」
「は?いや、ちょっ、〝おつかれ〟って何!?ダメだった?今のダメ!?なんで!?」
「〝○○ストーンで3キロ痩せました!〟とかいう広告じゃないんだから、そんな実体験を〝売り〟に出きるわけないでしょ!」
「ばかっ、応援される喜びをだな・・・・!」
≪結果はともかく、応援される喜びを知った康孝であった。≫
>>第16話に続く
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