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2010年1月末に休止。ありがとうございました。
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▽前回までのあらすじ
助っ人部のバレンタイン企画は大成功に終わった。
集まったエネルギーは約70個。これで2月は成績1位!?

▽登場人物紹介
中島康孝(ナカジマ ヤスタカ)
└ 主人公。あだ名はヤス。
中島友恵(ナカジマ トモエ)
└ 康孝の双子の妹として下界に潜り込んだ人助けの神の使い
柳沢誠(ヤナギサワ マコト)
└ 康孝の親友。軽音楽部の幽霊部員だったが、中島友恵の誘いに乗り助っ人部に入部した。
柳沢誠の作中での呼称対応表↓
人物名呼ぶ場合呼ばれる場合
許斐味々ミミちゃん柳沢君
浜松大門大門柳沢
大西寺巫女寺巫女ちゃん柳沢君
堂路文香先生柳沢君
侍の幽霊幽霊柳沢殿


以下省略!


人助けの男 第10話「人助け総会」



 毎月第三日曜日。それは月一人助け総会が開かれる日。
 この日には一ヶ月間どれだけ喜びのエネルギーを集められたかの成績発表があるの。
 昨日(14日)は作戦大成功でかなりの数稼いじゃったから1位を取る自身はあるわ。
 あ、そうそう。今回はあたし、〝友恵〟視点で物語は進行するわ。
 康孝には悪いけど、人間を総会に連れて行くわけにもいかないしね。

 ようやく目的地に到着。
 総会が開かれる場所はあたしの生まれ故郷にある人助けの神領地内人助けの神のお屋敷。
 あたしの生まれ故郷は人間が言う〝あの世〟の世界ね。
 普通の人間は入ってこれないようになってるの。
 侍さんの影響を受けた今の康孝なら5分ぐらいは生きてこの世界にいられるかもしれないけどね。
 ま、世界観の説明はこのぐらいにしておいて、遅れないように出席しないと。

 総会と言ってもそんなに大規模なものじゃないから、
 小さな会議室(と言うよりも談話室)で行われるんだ。総会なんて大袈裟よね。
 部屋に着くと既に何人かの使いが椅子に座ってくつろいでた。
 まぁ揃いも揃って〝美〟に恵まれない顔立ちなのが哀れよね。あたしも含め。
 この世界だとそういう視覚的な術すら無効化されるから、みんなありのままの顔なのよ。
 総会前の準備で女は化粧してる人がほとんど。男は本を読んだりピリピリした空気の中で沈黙してたり。まぁ、顔見知りは多いんだけどね。
 でも今じゃ全員がライバル関係だから会話は誰もしてない。それだけみんな成績に執着してるの。
「あ、トモちゃん!1ヶ月ぶりだねー。エネルギーどう?何個集まった??」
 ただ、一人を除いて・・・・。
「あなた浮いてるからね。わかる?いい加減空気を読み取れるようになりなさい。」
「え?あたしピリピリしたくないもん。でもトモちゃん来てよかったぁ。みんな口利いてくれないからさ。」
 この子はトヨちゃん。私のすぐ後に生まれて、それからずっと仲良しなんだけど・・・・
 地位に目が無いというか、無欲というか・・・・。そんなものより人と仲良くすることを優先しちゃうのがこの子。
 任務を遂行する27人の中に選ばれたのが不思議なくらい。でもお人好しな性格は人助けの神の使いに向いてると言えるわね。
 そうそう、気づいたかもしれないけどトモはあたしの本当の名前。
 〝下〟(康孝達のいる世界)で使ってる名前もここから取ってるわ。
 人間の親は子供に念をこめて名前を付けてくれるらしいけど、あたし達は違う。
 一番最初の子は〝アア〟、二番目は〝アイ〟、それから〝アウ〟〝アエ〟と続くんだけど・・・・
 これなら番号の方がマシよね。それに名前の響きで性別決められちゃうし。
 あたしは運良く〝トモ〟だったから良いけど、一つ前に生まれた子なんか悲惨よね。
 だって〝トメ〟よ?トメ。お婆さんのイメージあるじゃない。まぁ現代っ子の考えだけどさ。
 トヨちゃんはあたしの3つ後に生まれて、同じ人助けの神の使いになったの。
 ・・・・そういえば最近生まれた使いは〝ニ○〟って系統の名前が付けられてるけど、もし〝ンン〟まで名前付けきっちゃったらどうするのかしら?
 まぁ、使いは長生きするからあんまり補充されることは無いし、深く考える必要は無いのかな。

 空気を読みなさいみたいな事言ったけど、結局トヨちゃんと話し込んじゃった。
 周りのことを気にしないのも時には大切なのかもね。
 そんなこんなしてるうちに人がどんどん集まってきて、総会は始まった。
 会を取り仕切るのは人助けの神直属の使いの一人。
 あたし達、ふつうの使いの上に立つ人で、その上が人助けの神
 いわゆる上司ってやつね。早くあたしも出世したいな。
「えー、では第2回人助け総会を始め、えー、始めます。」
 この後、堅苦しい報告やら何やらあるんだけど詰まらない話だから小説的にはカットね。
 具体的に言えば衰弱しちゃってる人助けの神の最近の様子とか、
 あたし達が〝下〟で生活してて、何か見逃せない事があったら報告をするとか。
 ま、報告はするもしないも自由だから大抵の人は肝心なことに触れずにサラっと流しちゃうわね。
 あたしもその一人だけど。
 そして本日のメインイベント、成績発表・・・・!
「それではこの1ヶ月間で集めてきた、えー、エネルギーを提出してください。」
 仕切り人以外の全員がこぞってエネルギーを入れた容器を取り出す。
 あたしを含むほとんどの人が小ビンなんだけど、一部例外がいたりする。
 2ℓのペットボトル容器とか・・・・。なんでそんなものに入れるのかしら。
「それでは、えー、集計します。まずはサミさんから。」
 サミ(男の人助けの神の使い)が集めてきたエネルギーを集計装置に入れる仕切り人。
 この装置に入れると集めたエネルギーの数が表示されて、入れたエネルギーはそのまま人助けの神の所に行くらしいわ。
 どういう技術なのかしら?
「えー、サミさん、エネルギー9個。では次の方・・・・」
 こんな調子で集計は進行するの。
 部外者が見たらつまらないけど、当事者からしたらドキドキする時間ね。
「では次、キエさん。」
 出た、キエ・・・・。前回1ヶ月半で52個ものエネルギーを貯めた奴・・・・!
「出ました。えー、キエさん、エネルギー48個。」
 その結果を聞いていっせいに全員がどよめく。
「おほほほほ、今月も1位はあたくしですわね・・・。」
 断然余裕といった顔でキエはそう言った。
 見てなさい・・・・。今にその厚化粧の顔を歪ませてやるんだから・・・。
「では、えー、次はトモさん。」
 あたしのビンを見て、そのエネルギーの量に驚く人は結構いた。
 キエはすました顔で自分に酔いしれてるから気づいてないみたい。
「えー、出ました。えー、えー、んっと、おおー、エネルギー69個。」
「な、なんですって!そんな、ありえない・・・!」
 キエがあたしの思い通りに顔を歪ませた。
「えー、結果は結果ですので。」
「イカサマよ!何か不正をしたに決まってるわ!」
「失礼ね!何か証拠があるっていうの!」
「無いけどイカサマよ!イカサマ女!」
「えー、喧嘩はよくありません。えー、やめて、えー、やめてください。」
「そうやって人を疑う態度、人助けの使いとしてどーかと思うわ。」
 思いっきりイヤミを込めてキエに言い放つとこっちを睨み付けてきた。
 けど、仕切り人に止められた以上もう何も言い返さないみたい。
 それにしてもムカつくわね。不正してるのはそっちじゃないのかしら。

「えー、集計が、えー、終わりました。今月一番エネルギーを集めた人は、えー、トモさん。よく、えー、よくがんばりました。」
 いいわね~、この優越感。やっぱり一番が一番気分がいいわ。
「2位はキエさん。この調子で、えー、がんばってください。3位は・・・・」
 でも1位をキープするのは大変ね。毎月バレンタインみたいに稼げるイベントがあればいいんだけど・・・。
 出世するのも一苦労って感じね・・・・。

 総会も終わって全員が帰り始めた。
「トヨちゃん、途中まで一緒に帰らない?」
「あ、あのね、仕切り人に話があるからちょっと待ってて。」
 そう言うとトヨちゃんは会を終えて帰ろうとしている仕切り人に話しかけた。
「あの、結構重大な用件で、みんなの前では言えなかったんですけど。」
「えー、なんですか?重大な、えー、重大な用件とは?」
「それが、あたしのせいで憑いた人の家族関係が悪化しそうになっちゃってですね。憑いた人に〝もう勘弁してくれ〟って言われちゃったんです。」
 さらっと大変なことを言うトヨちゃん。
 でも顔は結構深刻そう。あんまりこういう顔しないから貴重な機会ね。
「それは、えー、一大事ですね。」
「それでそれで、憑く人を変えられないかどうか聞きたいんです。」
「なるほど。えー、あなたが関わった事でそうなってしまったのなら、えー、別の人に憑きなおしてください。できれば、えー、その憑いていた人の家族がいいですね。」
「ええ?それじゃ変わらないような気がするんですけど。」
「だからといって抽選をやり直すことは難しいのです。ですから、えー、近しい人に憑いていただけると、えー、私ら上の者は助かります。」
「どうして?」
「いや、それが、えー、上層部の守秘義務がありましてですね、えー、お話できませんが、話せる範囲で言ってしまえば、離れる憑き人、元・憑き人としておきましょうか。えー、その人を監視、というと言い方が悪いですが、見守れる環境にいてください。無理に記憶を消すと頭がトンチンカンに、えー、なってしまう可能性がありますからね。ですから記憶は消さずに、えー、新たに憑く人を巻き込む形で憑き人を変えてください。それが最善の、えー、最善の処置です。」
「なんか難しいけど、わかりました。そうします。」

「なんだか大変なことになってるわね。」
「うん。でもその人、息子さんがいるらしいんだ。もしその人がトモちゃんの憑いてる人と知り合いだったら嬉しいかも。」
「息子さんが・・・・いるらしい?会ったことはないの?」
「会社の出張で家にあんまり帰らないらしいのね。それであたしが来ちゃったもんだから家に帰るに帰れないって。」
「記憶操作でどうにでもなるのに。」
「え、でもぉ。あたしその人のやる気を出させるために、〝ないすばでぃ〟な女の人の姿で『人助けしてぇ~ん』って言ってるから、そういうわけにも行かなかったのね。」
「あー・・・・あはは。トヨちゃん、そんなキャラなんだ・・・・。」
 普段のトヨちゃんは私と同じような年齢の背格好なので、そんなナイスバディなトヨちゃんは想像できない・・・・。
「トモちゃんの憑いてる人って高校1年生なんでしょ?その息子さんも同い年らしいんだ。だから結構期待してるの。」
「へ~。まぁそんな偶然そう易々とは起きないと思うけど。」

 でもこれ小説よね・・・・。なんかその偶然が起きそうな胸騒ぎがする・・・。
 同い年で知り合いと言ったら柳沢君に浜松君・・・?
 いや、もしかしたら新キャラかもしれないわ!
 う~ん、どうなるのかしら。新キャラが有力かなぁ。
 裏の裏をかいてまったく関係ない所に住んでる、物語にまったく関係ないキャラとか・・・・
 たぶん、次回あたりでわかるはずね。ちょっと楽しみかも。


(今回、まったく出番無かったでござるね。)
「俺が主人公だっつーのになぁ。」

  >>第11話に続く                                               
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