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2010年1月末に休止。ありがとうございました。
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▽前回までのあらすじ
バレンタインの話は前回で終わらせるつもりだったのに話が脱線して終わらなかった上に、
バレンタイン過ぎてからバレンタインの話やるのもどうかと思ったので当日に滑り込んだ。

▽登場人物紹介
中島康孝(ナカジマ ヤスタカ)
└ 主人公。あだ名はヤス。
中島友恵(ナカジマ トモエ)
└ 康孝の双子の妹として下界に潜り込んだ人助けの神の使い
中島友恵の作中での呼称対応表↓
人物名呼ぶ場合呼ばれる場合
柳沢誠柳沢君友恵ちゃん
許斐味々ミミ副部長
浜松大門大門君中島
大西寺巫女寺巫女ちゃん副部長
堂路文香先生中島さん
康孝の母親お母さん友ちゃん
侍の幽霊侍さん友恵殿


以下省略!


人助けの男 第9話「助っ人バレンタイン」



 バレンタイン当日の朝。俺は重大なことに気づいた。
「友恵!今日はバレンタイン当日だが・・・・!」
「何?うちの学校は土曜も登校するじゃない。」
「そーじゃない!人助けは俺がしないと意味が無かったんじゃないのか!?
「なーんだ、そんなことなの?厳密に言えばあんたが喜んでる人の近くにいて、それで間接的にでもいいからあんたに感謝とかしてればいいのよ。今回の場合は助っ人部が感謝されるから、部長のあんたは間接的に感謝されてることになるわ。」
「はぁ・・・?そんなんでいいのかよ?」
「ま、間接的だから吸収できるエネルギーも1人あたりの量が減るけど。もし171人全員に感謝されたとして、全部のエネルギーを収集できたとしても通常の場合の1/3ぐらいしか入らないわ。だとしても一気に50人分近くのエネルギーが入るから今月トップ間違い無しね。」
 なるほど・・・・・。それなら友恵が人助けしてもエネルギーが貯まらないことに納得がいく。友恵が人助けしても友恵が感謝されるわけで、俺は直接的にも間接的にも感謝されないからな・・・・。でもちょっとぐらい手伝ってくれてもいい気がする。ま、1週間に一度母親の手伝いなんかしてせこせこエネルギー貯めてる俺が言えたことじゃないが。

 今日も今日とて私営丘科線に乗り学校へ。
 毎回毎回通学途中の描写しかないが、ちゃんと電車で通学しているのだ。
「そういやもう配ったのか?チョコ。」
「昨日のうちにね。放課後誰も居なくなるまで時間つぶして、あたしとミミと寺巫女ちゃんの3人で手分けして机に入れといたわ。」
「それで昨日あんなに帰りが遅かったのか。先生には怒られなかったのか?」
「ぜんぜん。いろんな先生があのチラシ見てるはずなのに、それでも何も言われなかったし。遅くまで残ってても意図を理解して黙認してくれてたんじゃない?中には先生にも・・・・おっと秘密厳守だったわね。」
 先生にもモテてない人がいたとは・・・・・。ってか同じ助っ人部なんだからどの先生かぐらい教えてくれてもいいのに。まぁ柳沢とかに教えたらすぐ言いふらしそうだが。

「チョコキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!」
「初チョコキタ━━━━━━━(;゚∀゚)=3━━━━━━!!!」
「義理だけどチョコキタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!」
「ちゃんと名前入りチョコキタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)━━━!!」
 朝っぱらからウチのクラスだけでもこんな調子だ。
 それにしてもこのモテない君達、ノリノリである。
「それぞれ申し込んだ人の名前書くの結構苦労したのよ。」
「しかし一部の女子、引いてるぞ。」
「いいのよいいのよ。どんどんエネルギー溜まってるし。さ、今のうちに各教室を回るわよ。」
「あ、やっぱり?俺が近くに行かないとダメなわけね。」

            ・
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            ・

「すっごーい!今日のだけでビン1つ分のエネルギーが溜まったわ!」
 目をキラキラさせながらエネルギーの詰まったビンを見つめている友恵。
 誰も知らない人から見れば黄色い飴玉が入ったビンをただ見つめたいるだけにしか見えない。
 ちなみにこのビンは1瓶で約50個入るらしい。友恵はこのビンを3つ程携帯している。
 ビンは無色透明で大きさは500mlの紙パックと同じぐらいなので携帯するのに不便だと思ったのだが、ドラえもんの四次元ポケットみたいに便利に出し入れできる場所に入れてるだけなので重さは感じないらしい。
「数えるのに苦労するけど、大体69個ぐらい集まったわね。まぁあんたが一ヶ月間人助けして貯めた分も含めてだけど。」
「しかし驚くほどうまくいったな。こういうイベントにうまく便乗すればデカイってわけか。」
 現在、2つ目のビンの1/3ぐらいまでエネルギーが貯まっているようだ。しかしこれから3つ目のビンを使う機会はあるのか・・・・?

 教室に戻ると柳沢がぐったりしていた。
「ちょっ、どうした柳沢!」
「と、と、とも、友恵ちゃ、友恵ちゃんのチョコ・・・・・」
「どういうことだこれ・・・・。」
「柳沢のやつ、助っ人部のチョコ申し込みをすっかり忘れてたらしいのだ。」
 横に居た大門が説明を入れた。その手にはしっかりチョコが。
「はぁ?ちゃんと部活に出てて、何度も話し合いしてたのに??」
「それだからこそショックなんじゃあないか?」
「ところで大門、それ誰のチョコ?」
「うん?ああ、先生名義のチョコだ。助っ人部なんだから気ぃ利かせてくれりゃいいもんを・・・・。」
「あら?浜松君は誰のチョコが欲しかったの?」
「あ、いや、うむ。なんでもないぞ。」
 大門の入部理由を友恵は聞いてるはずだから、恐らくからかってるんだろう。
 ってか大門も聞かれてるのを知ってるはずだから今更隠さなくてもいいだろうに。
 まぁ、大門は大雑把な性格だけど変な所で恥ずかしがりだからな~。
「友恵ちゃんのチョコ・・・・友恵ちゃんのチョコ・・・・友・・・・チョコ・・・・かゆ・・・・うま」
 柳沢は壊れたラジオのようにブツブツと同じこと繰り返している。
 漫画的表現をするならば口からエクトプラズムがプワプワ出ていると言った感じだろう。
 ってかかゆ うまは関係ないだろ。なぜバイオハザードネタを・・・・。
「あっ、友チョコで思い出したわ。まだ恵理にあげてなかった。」
 そう言うと友恵が女友達の方へ行った。
 恵理というのはウチのクラスの友恵の友達だ。
「近年は女同士でもチョコを渡すんだなぁ。どう思う、ヤスよ。」
「いや、どう思うって言われてもな。男同士だったら気持ち悪いが、女同士ならいいんじゃないの?」
「そりゃあ男の価値観だろ。俺はこの友チョコというのがどうにも気に食わんのだ。」
「そりゃまたなんで?」
「うまく言い表せないが・・・とにかく気に食わん。」
「ま、気持ちはわかるけどねぇ・・・・・。」
「・・・・友・・・・ゃん・・・・チョ・・・・」

「大成功ー!!いぇーーーい!!!」
 今日は部活の日ではないのだが、とりあえず部室に全員集まった。
「朝から凄かったねー!ま、わたし名義のチョコもあるからちょっと恥ずかしかったけど。」
 頬を少し赤らめて許斐さんが言った。ふと思ったが、義理チョコを大量に上げた女の子はどういう気持ちなんだろう。
「私は見てるだけだったけど、みんな喜んでくれてるみたいでうれしかったな・・・・。」
 なんとなく嬉しげな大西さん。そういや大西さんの入部理由、知らないな・・・。もしかしたら本当に人助けしたくてこの部に入ったのかも。〝本当に〟とは失礼な言い方だが。
「先生はちょっと困ったわ。授業に行ったクラスの子の視線とか・・・・。まぁちょっと学生時代の気分を味わえて良かったけれどね。」
「俺も一応生まれて初めて女子からチョコを貰ったからなぁ!万々歳だ!」
「・・・・あれ、柳沢の姿が見当たらないんだが・・・・。」
「柳沢君ならそこで黄昏てるわよ。」
 許斐さんが指差した方向には、窓の外を眺めて柳沢が黄昏ていた。
「黄昏んなよ柳沢!まだ昼だぞ!」
「ふふ・・・・ヤス、お前もわかるだろ・・・?チョコを貰えるチャンスをみすみす見過ごした男の気持ちが・・・・。」
 柳沢は一通り言い終えてから自嘲気味に「ハハッ」と笑った。
「らしくないぞオイ!お前はいつでも大声で元気ハツラツキャラでいるべきだぞ!」
「まだ立ち直れねーさ・・・・。」
 柳沢がこんなにも落ち込むなんて初めてだ。壊れたラジオ状態よりは回復しているが・・・。
「あの・・・・柳沢君・・・。」
 珍しいことに大西さんが柳沢に声をかけた。
「こ、これあげるからっ、元気だしてね・・・・。」
「・・・・え、なに・・・?ん?お、お?
ひょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!??
 柳沢の表情が一変して驚愕と歓喜の入り混じったものになった。
「これチョコじゃないかぁーーーーーーーーっ!!!!」
 叫ぶ柳沢。声のボリュームはいつもの調子である。
「う、うん。中島君と、あと、浜松君にもっ・・・・はい。」
「え、あ、ありがとう。」
「本日2個目だと・・・・・・。」
「助っ人部のみんなにね、あの、用意してたの・・・。」
「寺巫女ちゃん、やるわね~。ほんじゃあたしもあんたら3人にポッキーあげるわ。」
「ポッキー一本かよ。」
「中島、こういう場合は1パックずつじゃないのか?」
「いいじゃない。今思いついたことだし、1箱しかなかったのよ。1箱に2パックしか入ってないでしょ?それにほら、柳沢君喜んでるみたいだし。」
「ふおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
 柳沢は友恵からポッキーを受け取ると顔を真っ赤にして叫んだ。
 最低から一気に最高に感情が引き上げられたので、嬉しさをどう表現していいのか頭が追いついてないのだろう。
「元気あってこその柳沢君よねー。あたしは残念ながら何も用意してないんだけど。」
「青春ねー・・・。」
 柳沢を見て先生が楽しげに言った。チョコを貰って叫ぶのが青春?とも思ったが、青春に明確な形なんてないし、これでいいのかな。

(康孝殿。〝ちよこ〟を貰えて良かったでござるな!めでたいでござる!)
 そういや大西さんから貰ったのが人生初のチョコだ。義理だとかそういう問題ではない。貰ったことに意義がある!・・・って友恵も言ってたなこの台詞。
(拙者の時代には〝ちよこ〟は無かったでござるからして、拙者も〝ちよこ〟を貰ったことが無いんでござる。羨ましいでござるなぁ。)
 というか、侍さんは食べたこともないでしょ。今は幽霊だから食べれないしね。
(良き時代でござる・・・・。平成時代・・・・。)
 なんかノスタルジックに窓の外を見る侍さん。
「ん、ヤス、何見てんだ?」
「いや、虫が飛んでるかな~なんて。」
 大門が不審がって俺に尋ねてきたので適当にお茶を濁す。
 そういや侍さんは姿を現してないな・・・・。でも最近俺は常時見えるようになった・・・・。
 やっぱどんどん感化されてってんのかなぁ。ってか侍さんって何で俺に憑いてんだっけ?

(拙者もよくわからないでござる・・・・。)

  >>第10話に続く                                               
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