2010年1月末に休止。ありがとうございました。
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▽前回までのあらすじ
助っ人部ができた。
▽助っ人部・人物紹介
中島康孝(ナカジマ ヤスタカ)
└ 部長。この話の主人公。あだ名はヤス。
中島友恵(ナカジマ トモエ)
└ 副部長。人助けの神の使いだが、世間では康孝の双子の妹ということになっている。
柳沢誠(ヤナギサワ マコト)
└ 平部員。軽音楽部の幽霊部員だったが、友恵のために助っ人部に入部。
許斐味々(コノミ ミミ)
└ 平部員。抜け神の使い。堂路先生に憑いている。
浜松大門(ハママツ ダイモン)
└ 平部員。力士体型。パワー型。大食い。こいつも友恵のために入部。
大西寺巫女(オオニシ ジミコ)
└ 平部員。影が薄い。弱気。
堂路文香(ドウジ フミカ)
└ 顧問の先生。おっちょこちょい。教科は数学。
助っ人部ができた。
▽助っ人部・人物紹介
中島康孝(ナカジマ ヤスタカ)
└ 部長。この話の主人公。あだ名はヤス。
中島友恵(ナカジマ トモエ)
└ 副部長。人助けの神の使いだが、世間では康孝の双子の妹ということになっている。
柳沢誠(ヤナギサワ マコト)
└ 平部員。軽音楽部の幽霊部員だったが、友恵のために助っ人部に入部。
許斐味々(コノミ ミミ)
└ 平部員。抜け神の使い。堂路先生に憑いている。
浜松大門(ハママツ ダイモン)
└ 平部員。力士体型。パワー型。大食い。こいつも友恵のために入部。
大西寺巫女(オオニシ ジミコ)
└ 平部員。影が薄い。弱気。
堂路文香(ドウジ フミカ)
└ 顧問の先生。おっちょこちょい。教科は数学。
人助けの男 第7話「大切なのは結果だ」
今日も今日とて学校だ。いつも通り学校へ行く。
今日、2月4日は立春らしいがまだまだ寒い。暦的にも2月はまだ冬だろう。
「あっ、あのお婆さんハンカチ落としたぞ。」
「チャンスじゃない。行ってきなさいよ。」
お婆さんは少し離れたところにいたので走って追いかけた。
「お婆さん、ハンカチ落としましたよ。」
「あら、ありがとうねえ。」
お婆さんは歩みを止めて俺にニコリと微笑むとハンカチを受け取りまた歩きだした。
だが、お婆さんが背を向けた瞬間、お婆さんの背後に浮かぶ黒い影が見えた。
なんだかよくわからないが、人の形をしているようにも見える。
(私が見えるの・・・・?)
突然何者かに話しかけられて驚いたが、こういう場合はすぐに特定できる・・・。
黒い影に話しかけられたのだ。
俺が戸惑いつつもコクリとうなずくと、黒い影の中から女の人の頭が浮かんできた。
金髪で結構美人さんだ。その女の人は俺にウィンクを飛ばすと黒い影に消えてお婆さんと共に行ってしまった。
「まさか、あんた見えてたの?」
背後から友恵の声が聞こえたので慌てて振り返った。いつの間に来てたんだコイツ・・・。
(完全に見えていたようでござるよ。)
「なんなんだあの人?あれも神の使いなのか?」
「そうね。あれは・・・・死神の使いよ。」
「死神だって!?」
「可哀想ね、あのお婆さん。もうすぐ死んじゃうんだわ・・・。」
「え?寿命が近いってことか?なら別に可哀想とか・・・・」
「違う違う。寿命で死ぬ場合は死神なんかに憑かれないわよ。何か他の事・・・、事故か病気か災害か・・・それで死んじゃうわ。」
俺は唖然とした。なんだって俺は死神を見ちまったんだ・・・。
「死神の使いは通称〝デス・ストーカー(死の案内人)〟って呼ばれててね。他の神の使いからも気味悪がられてるのよ。」
「お、俺、あの死神の使いにウィンクされちゃったんだけど・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁ別に害は無いでしょ。」
「ちょ、何その間!?」
やがて学校に着く。今朝は柳沢は通学路途中で現れなかったのでおかしいなと思ったら朝早くに何か用事があったらしい。
俺はなんとはなしに朝の出来事を柳沢に言ってみた。
「何?死神が見えたって?ヤス~、お前にしちゃ面白いマイケルだな!」
「なんだよマイケルって・・・。」
「ふははは・・・!ジョーダンと言いたいのだろう!柳沢よ!」
大門が自分の机にカバンを置きながら笑い飛ばした。今来たんだろう。
「お前、今時マイケル・ジョーダンのシャレなんて誰もわかんねーぞ・・・。」
前回の合点承知の助といい、今のといい、柳沢のギャグセンスは時代遅れなんじゃないかと思う。
というか柳沢に死神のことを言ってどうするんだ。あの後すぐに友恵に聞けばよかった。なんで俺に死神が見えたのか・・・・。
今聞こうにも周りはクラスメイトだらけで変な話はできないし、第一友恵は他の女の子と談笑中だ。
聞くのは帰りでいいか・・・・。
「世間はもうすぐバレンタインデーよ!」
毎週水・金曜日は助っ人部の活動(というか集まり)がある。
その集まりで友恵が一番最初に発言したのがこれだった。
しかしもうすぐバレンタインと言ってもあと10日もある。
「バレンタインがどうかしたの?」
許斐さんが友恵に聞いた。確かに、バレンタインがどうしたというんだろう。
「人助けのチャンスでしょ!」
「バレンタインが人助けのチャンスってそりゃちょっと無理があるんじゃないか?」
「ちっちっち・・・。良い案があるのよ、良い案が・・・。」
友恵以外の部員全員+先生が頭にクエスチョンマークを浮かべた。
「友恵ちゃんッ!君の意見を聞こうッ!」
柳沢が某スタンド使いの物真似をしたが、大門が少し笑ったぐらいで他のみんなは柳沢の変なテンションに、これまたクエスチョンマークを浮かべた。
「じゃあ聞くけど、男子3人。この中でバレンタインにチョコ貰ったこと無い人~。」
・・・・・・・もちろん3人とも上げない。上げるわけが無い。恥を晒すだけである。
「聞き方がまずかったか。母親、家族からのチョコはノーカウントだったらどう?」
・・・・・・・また誰も上げない。聞き方とかそういう問題ではないのだ。
「じゃあこうしましょ。クラスの女の子にチョコ貰ったことある人!」
・・・・・・・また誰も上げなと思ったら柳沢が上げてるだとぉおおおぉぉおぉ!??
「うそー!?柳沢君貰ったことあるんだー!?」
ビックリした声で言う許斐さん。
「貰ったことがあるのかぁ!?柳沢よ!」
かなり慌てる大門。
「お前がもらえるなんてありえねぇええぇえぇ!!」
そして悔しさ100%の俺。
みんながみんな驚いているが、中でも友恵が一番驚いている様子だったのは笑えた。
「おいおいおい!ちょっと待ってくれよ!俺は正直者だぜ!小学生の頃にな!貰ったんだよ!」
「ずるいぞぉ柳沢ぁ!」
「俺だって貰ったことないのに!」
「ちょっとちょっとみんな落ち着いてっ!確かに柳沢君がチョコ貰ったことあるっていうのは意外だったけど、そんな責めること無いでしょっ!」
先生が熱くなってる大門と俺を止めに入る。
しかしサラッと柳沢に対して失礼なこと言ったよね、今。
「ぐ、むぅ・・・・、しかし悔しいことに変わりは無いぞ。何で俺が貰ったこと無いのに柳沢が・・・・」
「まったくだ。」
「あんたら、サラッと自分が貰ったこと無いこと言っちゃってるわね。」
・・・・はッ!?友恵に言われて初めて気づいたが、墓穴を掘ってしまった・・・!
しかし大門も貰ったことなかったのがわかって少し安心した。
「まぁこの丘科市に来る前は田舎の方に住んでて、その時付き合ってた女の子に貰ったんだよな。うん。」
「ちょ、おま、彼女もいたのかぁ!?」
なんてことだ・・・。大門が驚くのも無理は無いが、柳沢に彼女がいたなんて初耳もいい所だ。
「この際だからぶっちゃけるとさ、・・・・俺もう童貞捨ててるんだよね。12歳の夏に。」
「な なんだってーーーーーーーーーーーーーー!!??」
これはぶっちゃけ過ぎだろ!モテ男くんじゃないか柳沢の野郎!
ゴスッ
突然、部室中に鈍い音がした。
「わ、せ、せ、先生!何してるんですかっ・・!」
大西さんが慌てた口ぶりで柳沢のほうを指差すと先生が柳沢に拳骨を食らわしていた。
柳沢はあまりの衝撃にフラフラしている。
「あっ、ごめんなさい!大丈夫柳沢君っ!」
どーなってんだ?なんで先生が。
「あのね、中島君。文香ちゃん・・・・・・・まだなの。」
許斐さんが俺に小声で言った。
「まだって・・・・つまり、まだなのか?」
「うん。まだなのよ・・・。」
怒る部分がズレているような気がしなくも無いが、まぁなんとなくわかる気がする。
「じゃ、気を取り直して・・・・、中島さん、話を続けてっ。」
俺と大門で柳沢を保健室まで運んだあと、話を再開することになった。
ってか先生強く殴りすぎだろ・・・・。もうあの人には逆らわないようにしよう・・・。
「え、えっとね。うん。えー、なに話すか忘れちゃったわよもう・・・!」
友恵はかなり取り乱した様子で髪の毛をわさわさやっている。
こんな調子の友恵は中々見られないぞ。しっかり見ておこうっと。
「あ、そう、思い出した!モテないくん救済イベントよ!」
友恵の言うモテないくん救済イベントとはその名のとおり、バレンタインにチョコを貰ったことのないモテない男を救済するイベントだという。
つまりモテないくんにチョコを上げて喜ばせようって魂胆だろう。
「これを校内の至る所に貼るわ。」
友恵が出したチラシにはこう書かれていた。
―バレンタインにチョコが貰えないとお嘆きのア・ナ・タ!助っ人部があなたのお悩みを解決します!申し込み用紙と手数料200円を丸めて適当な袋にいれて部室前のBOXに入れてください!当日素敵な手作りチョコがあなたの机の中に・・・・・―
途中で読むのが恥ずかしくなったのでここまでにしておくが、後は申し込み締め切り日時等が書かれていた。
「これは・・・・・、いいんじゃないかしら!」
「わ、私も良いと思うよ。」
女子の反響は中々のようだ。
「ちょっと待ってくれ中島。こんなことで貰った男は喜ぶと思うのか・・・?」
大門がチラシ片手に友恵に訊ねた。
ちなみに大門は友恵のことは「中島」、俺のことは「ヤス」と呼んでいる。
「浜松君。既成事実って知ってる?」
既成事実・・・・。よく漫画で女の子が言ってる場面が頭に浮かぶ。
「つまりね、助っ人部に頼んだという過程がどうであれ!チョコを貰ったという事実は事実なのよ!しかも手作り!義理だけど!」
「な、なるほど・・・。お、俺も頼んでいいのかぁ?」
「ま、別にいいわよ。あんたも頼む?」
そこで俺に振るか・・・。チョコはほしいけど、手数料取るってなんかサギだよなぁ?
「な、なあ。そのチョコは誰が作るんだ?」
「そりゃあ・・・・・あたし?ミミと寺巫女ちゃんにも手伝ってもらうとして。」
「お前のチョコで喜ぶのかよ。」
「しっつれーね!誰に貰ったかじゃないの。チョコがもらえたという―――――」
「わかったわかった!で、男子は何すりゃいいんだ?」
「チラシの量産。あと校内に貼り付け作業。あと申し込み用紙も作って。」
明らかにチョコ作る方が楽じゃねーか・・・。
決めることも決まったので今日のところは解散し、帰宅する。
その時、朝思ったことを友恵に聞いてみた。
「あのさ、俺今朝死神見ちゃったじゃん。なんで俺に見えたんだ?」
「んー、そうね。誰にでも見えるわけないし、あたしの影響かなぁ。」
(案外、拙者の影響かもしれぬでござる。)
「あ、それありそう。」
「ちょ、まて!あるのかそれは!?」
「侍さんって幽霊の中では強いほうだから。感化されて霊力っぽいのが身についたんじゃないの?」
(普段は空気でも、康孝殿に与えている影響は大きいんでござるな!はっはっは!)
うわぁ・・・・どんどん普通じゃ無くなっていくじゃん俺。
3ヶ月くらい前までは普通の高校1年生だったのになぁ~。はぁ・・・・。
あ、柳沢のこと忘れてたわ。あいつまだ保健室だ・・・・。
>>第8話に続く
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